外来10分の限界を越えて。総合診療医が月5,000件の対話が生まれるコミュニティをつくるまで

公開日
Pickup Cteator
インタビューしたクリエイター
総合診療専門医
舛森悠
ジャンル
美容・健康・ウェルネス
活用シーン
オンラインコミュニティ
オンラインサロン
課題・目的
双方向・参加型コンテンツへの転換
この事例のまとめ
課題
1人あたり10分以下という外来診療の制限上、病気予防や生活指導まで十分に伝えきれない。
YouTube等のオープンSNSは一方通行になりやすく、視聴者の日常的な「行動変容・習慣化」まで伴走できない。
医療という領域で有料コミュニティのような場を開設することへの強い葛藤・心理的ハードルがあった。
効果
匿名性と心理的安全性が確保されたクローズド空間により、オープンなSNSでは打ち明けられない深い悩みを相談し合える場が完成。
ログイン率約73%、平均エンゲージメントスコア最高水準、月間コメント数5,000件超という圧倒的に濃密なコミュニティを創出。
コミュニティ内で寄せられるリアルな相談(UGC)が次のコンテンツのヒントとなり、発信からコミュニティまでが自然につながる循環を確立。
YouTubeチャンネル登録者数約93万人を誇り、総合診療医として多忙な日々を送る舛森さん。一見すると情報発信者として圧倒的な成功を収めているように見えますが、医師としての現場には常に「10分の限界」という葛藤がありました。
診療時間内では伝えきれない予防医療の知識、そしてSNSのコメント欄では救いきれない孤立や悩みの声。それらを解決するために導き出した答えが、オンラインコミュニティ「心と体の相談室 ココカラ」でした。
「医療の発信と、会員制のコミュニティ運営は両立するのか」という当初の葛藤を乗り越え、いかにして「ログイン率約73%」「月間コメント数5,000件超」という熱量の高い居場所を作り上げたのか。その裏側にある舛森さんの想いとコミュニティ設計について伺いました。

診療時間10分、YouTube登録者数93万人の先に見えた「予防医療の壁」
総合診療医として活動されながら、YouTubeでの情報発信を始められた経緯を教えてください。
YouTubeを始めたのは2019〜2020年のコロナ禍の時期でした。外来で患者さんと向き合っていても、1人に割ける時間は10分以下です。その短い時間の中では、今日起きた症状や薬の処方の話で一杯になってしまい、「どうすれば病気を予防できるか」「どのような食事や運動を習慣化すべきか」という本当に大切な話をする時間がどうしても取れませんでした。
医療の構造上、予防医療には診療報酬がつきにくいという現実もあります。ですが、病気になる前のアプローチこそが重要です。それなら、普段診察室でお伝えしきれない内容をカメラの前で話し、必要な人に届けようと考えたのが発信のスタートでした。
YouTubeのチャンネル登録者が増えていく中で、新たに感じた課題はありましたか?
YouTubeは多くの方に情報を届ける点では非常に強力ですが、どうしても一方向性の情報発信になりがちです。健康や予防において、正しい情報を提供するだけでは人は変われません。情報の正しさの先にある「実際の行動変容」や「習慣化」に繋げるには、何段階ものステップや継続的な関わりが必要だと痛感していました。
また、近年の研究でも「孤独や孤立が健康に与える悪影響」が明らかになっています。地域での健康教室などを通じても、人と人との繋がりやピアサポート(同じ悩みを持つ人同士の支え合い)が行動の原動力になると実感していたため、オンライン上で誰もが安心して繋がれるソリューションを探していました。

「医療と会員制コミュニティは両立するのか」という葛藤を破った、クローズドな空間という答え
コミュニティの構想を持ちつつも、開設までには葛藤があったとお聞きしました。
正直にお話しすると、最初はかなり慎重でした。「医療の発信と、会員制のコミュニティ運営は両立するのだろうか」とずっと考えていて、外部からお声がけをいただいてもお断りしていました。
ですが、メンタルや健康に深い悩みを抱える方々が集まる場において、完全無料のオープンな空間では悪意や摩擦から参加者を守り切れません。責任を持って安全な環境を維持し、専任スタッフを配置して質の高い問いかけや対話を提供するためには、あえて一定の参加費をいただくクローズドな境界線が必要だと気づきました。
多く集めることではなく責任を持てる範囲で、最高の心理的安全性を担保すること。この大義が明確になったことで、有料コミュニティを始める決心がつきました。
会員が迷わず使える専用アプリと、構想を形にする伴走支援
プラットフォームとしてFANTSを選ばれた決め手は何だったのでしょうか。
一番大きかったのは、会員の方々が使う「専用のスマホアプリ」が存在することです。
Web上のサービスだと、ブラウザを開いて、お気に入りからページを探して、ログインして……という手数が発生しますよね。スマホ操作が得意でないシニア層の方にとって、その10秒の手間やログインの再要求は大きな離脱要因になります。FANTSはスマホの画面からアイコンを1タップするだけで直接コミュニティに入れるため、日常の習慣に溶け込みやすいと感じました。
また、機能が1つにまとまっている利便性に加え、立ち上げ初期にディレクターの方がコンセプト設計やLP募集ページ制作まで並走してくださったことも非常に助かりました。自分のやりたい構想と、ユーザーが真に求めているニーズをすり合わせる過程を伴走してもらえたのは心強かったですね。

全サロン最高水準のエンゲージメント。ログイン率73%・月5,000件の対話を生む「心理的安全性」
実際の運用データを拝見すると、ログイン率約73%と驚異的なアクティブさを記録されていますね。
ありがとうございます。現在、100名を超える会員様にご参加いただいております。
当コミュニティは50代・60代以上の会員様が全体の約80%を占めていて、心や身体の不調、ご家族の悩みなど、オープンなSNSではとても書けないようなお悩みの声が、毎日のように寄せられます。

※掲載数値はFANTS上のデータに基づく集計値です(2026年6月時点)
※『ココカラ』は健康や生活に関する情報提供・交流の場であり、診断・治療・処方などの医療行為を行う場ではありません。
会員お一人あたり、ほぼ毎日のようにコメントが書き込まれていますが、この活発な対話はどのように生まれているのでしょうか?
コミュニティ内に寄せられるご質問には、一般的な健康情報をお伝えするという形で、私自身ができる限りお返事をしています。個別の診断や治療の判断が必要な内容については、必ず医療機関の受診をおすすめするようにしています。一件一件の返信に手を抜かないと決めており、診療後の時間や移動時間を使って、音声入力で文章を作成したり返信するルーティンを確立しています。
ですが、単に「医師が正しい回答を与える場」にはしたくありません。一番大切にしているのは「心理的安全性」です。否定されない、温かく受け止められる空間だからこそ、皆さんが自分の言葉で悩みを打ち明けられます。
さらに最近では、あえて私が返信を行わない「今日のページ」という雑談用の投稿枠を作りました。オープンな掲示板だと緊張してしまう方でも、そのクローズドな小さな枠の中なら「今日はお散歩に行けました」「少し体調が良いです」と自由に書き込めます。そこに対して会員様同士が「素晴らしいですね!」「無理しないでね」と声を掛け合う、自然なピアサポートが生まれています。
会員のリアルな声が、次のコンテンツになる。発信とコミュニティに生まれた好循環
コミュニティを始めたことで、舛森さんご自身の発信活動やビジネス面にはどのような変化がありましたか?
発信の解像度が劇的に上がりました。YouTubeを5年以上続けていると企画のマンネリ化という課題に直面するのですが、コミュニティ内で会員様がリアルに直面している悩みや質問に触れることで、「いま世の中の人が本当に困っているポイント」が手に取るように分かります。
コミュニティで反応が良かったテーマや切実な声を拾い上げ、それをYouTubeの動画企画に還元するというコンテンツの好循環ができました。
YouTubeで広く知ってもらい、LINEで情報を届け、FANTSでは会員の方とより深くコミュニケーションを取る。それぞれの場に役割ができたことで、発信からコミュニティまでが自然につながるようになったと感じています。

偶発的な出会いが人生を勇気づける。日常の「サードプレイス」を目指して
今後、「ココカラ」をどのような場所にしていきたいか、展望をお聞かせください。
健康の課題や不調を抱え、凸凹な人生を歩んできた方々が、「ここに来て良かった」「この場所に出会えたから自分の人生を受け入れられた」と思えるような前向きになれる場にしていきたいです。
狙って作る必然性だけでなく、コミュニティ内でふと人と出会い、温かい言葉を掛け合えるような偶発的な幸福が生まれる場所でありたいですね。
今後はテキストや動画だけでなく、文字を読むのが苦手な方にも届く音声コンテンツを取り入れたり、いずれは会員様同士がオフラインでも繋がれる機会を作ったりしながら、誰もが安心して戻ってこられる日常の「サードプレイス(寄り所)」のような空間へと進化させていきたいと考えています。
【まとめ】正しい情報の、その先へ。人の行動を変えるコミュニティの力
どれだけ正しい情報を届けても、それだけで日々の行動や習慣を変えることは簡単ではありません。
舛森さんが「ココカラ」でつくったのは、医師から一方的に知識を伝える場ではなく、安心して悩みを打ち明け、会員同士で励まし合いながら、一歩ずつ前に進んでいける場所でした。診察室では伝えきれなかったことを届け、YouTubeでは拾いきれなかった一人ひとりの声に向き合う。そして、そこで生まれた声がまた次の発信につながっていく。「ココカラ」は、舛森さんが目指してきた予防医療を、日常の中で実践していくための場所になっています。
「ここに来て良かった」と思えるつながりが、誰かの次の一歩につながっていく。そんな場を育て続ける舛森さんの挑戦は、これからも続いていきます。
オンラインコミュニティの立ち上げ・運営は、『FANTS』にご相談ください
「一方向の情報発信だけでは、その先の行動まで支えきれない」「安心して悩みを共有し、支え合えるつながりをつくりたい」「継続的な関わりを通じて、前向きな変化が生まれる場を育てたい」
そんな課題をお持ちの方は、ぜひ一度『FANTS』にご相談ください。あなたの想いやこだわりを、そのまま形にできる仕組みづくりを、伴走しながらサポートします。
▷ お問い合わせはこちら:https://biz.fants.jp/contact
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この記事を書いた人
斉藤千花
株式会社スタジアム マーケティング部デザイナー










